正しい方法で額装・保存すれば、すてきな作品と思い出を、きれいに保つことができます。
描くこと、表現することの喜びに溢れた子どもの作品を見ると、明るくのびやかな気持ちになります。
テープや画鋲で壁にそのまま貼ると、紙が折れたり汚れたり破れたり、というトラブルが起きやすいもの。
きちんと額装して飾れば、大切な作品を物理的に保護しながら長く良い状態に保つことができます。
作品保護のための額装と飾り方のポイント
作品に直接テープを貼らない
一般的な接着テープを輪にしたものを使って、額縁に入っていた紙に作品を貼り付けて2年程経過したもの。接着剤は既に劣化して黄色く変色して固まり、作品の裏面にもその色が移ってしまっている。
一般的な接着テープは時間が経つと黄色く変色したり接着剤が劣化して固まったりします。テープを作品に直接貼ってしまうと、接着剤が劣化したときに作品を汚したり、作品を傷めたりしてしまいます。
劣化変色しにくい無酸テープを使う方法も良いですが、一番のお勧めはコーナーポケットを使って作品を台紙に固定する方法です。コーナーポケットも台紙も、額装用のリグニンフリーのものを選びましょう。作品に直接触れる素材の品質が悪いと、テープの接着剤と同様に、時間の経過で作品を傷める原因になってしまうので注意しましょう。
コーナーポケットなら、作品に接着剤を直接付けず固定できて、取り外しも簡単。
マットボードを使う
マットボードは単に作品と絵のサイズの違いを調節するものではなく、ガラス・アクリルと作品とに空間を作るという重要な役割を持ちます。作品がガラスやアクリルに直接触れると、貼りついてしまったり、結露で絵の具が滲んだりカビが生えたり、という作品の損傷リスクになります。他の素材と同様に、マットボードも作品に直接触れるものですから、リグニンフリーの保存品質のものを選ぶことが重要です。
マットなしで額装したもの
ダブルマットで額装したもの
作品がガラスやアクリルに直接触れるので、時間が経つと作品が傷むリスクがある。また、フレームと作品のサイズが合わないため、隙間のできる箇所があったり、作品を切ったり折ったりして調整するなどの望ましくない方法が採られることもある。マットを入れて額装するとこうした問題を解消することができる上、作品自体の見映えも高めることができる。
場所を選んで飾る
× 直射日光
× 湿度が高い場所
×エアコンの風が当たる場所
光は作品を劣化させます。特に紫外線は褪色や劣化の主な原因となり、直射日光の当たる場所に作品を飾ることはお勧めしません。有害紫外線を97%以上カットする保存額装用ガラス・アクリルもあります(通常のガラスの場合、紫外線の約45%をブロックします。通常のアクリルの場合、紫外線の約66%をブロックします)が、温度湿度の急激な変化も作品劣化の原因になりますので、できるだけ日の光が直接当たらない場所に飾ることが望ましいです。エアコンの風が直接当たる場所や、浴室など湿度の高くなる場所も作品展示には適さない環境と言えます。
作品の保管方法
額装するときに、作品に触れる素材の質に注意する必要があると説明しましたが、額に入れずに保管する場合にも同じことが言えます。一般的な段ボール製の箱などは作品保存には適さず、作品を傷める恐れがあります。
リグニンフリーのボードで作られた保存品質のコレクションボックスに保管すれば、物理的に保護しながら、長く良い状態に保つことができます。
季節ごとにコレクションボックスの中から作品を選び、額の中を入れ替えて飾るのもお勧めです。お子さんが成長してから箱ごとプレゼントすれば、子ども時代の大切な思い出が詰まった特別な記念ギフトになることでしょう。
額選びのヒント
多くの子どもアートの魅力はのびのびとした豊かな色彩です。色のきれいなフレームを選ぶことで作品の個性や魅力をより引き出すことができます。また、ナチュラルな木目を活かしたフレームは、多様なインテリアや作品に合わせられるので、キッズアートをまとめて飾る際などにコーディネートしやすいという利点があります。今回ご紹介した額装例では、ブナ材にカラーでアクセントを加えたフレームをそれぞれ4色使い、子どもっぽくなり過ぎない雰囲気にまとめながら、作品の持つ色彩の美しさを楽しく引き立てました。
更にひと工夫
絵のタイトルや描いた時期をプレート風に仕立てて額装に加えたり、コレクションの目録を作って保存箱に入れておくと、ひとつひとつの作品の記録も一緒に保管することができます。